「月々3万円なら払える」と思った私が、残クレを選ばなかった理由

大きな支出

子育て世代を狙う「残クレ」という言葉

子どもが生まれ、スライドドアの広い車が欲しくなる。私もそうでした。ディーラーに行くと、営業の方から必ずと言っていいほどこう提案されます。「残価設定型クレジットなら、月々3万円でこの車に乗れますよ」。

私の父は長年ディーラーに勤務していました。おかげで車の買い方には少しだけ知識がありましたが、それでも月々3万円という数字は魅力的に見えました。今の家計から見れば、払えない額ではありません。

結論から言うと、我が家は残クレを選びませんでした。

残クレが安く見えるカラクリ

残価設定型クレジットは、数年後の下取り価格をあらかじめ差し引いて、残りの金額だけを分割で払う仕組みです。だから毎月の支払いが安く見えます。

ここで気をつけたいのが、据え置いた残価の扱いです。据え置いた残価部分にも金利がかかる契約が多く、その場合、毎月の支払いが安く見えても総額では思ったほど得になりません。ただしこの扱いは販売店やプランによって違い、キャンペーンで金利の負担が抑えられていることもあります。月々の安さだけで決める前に、契約書の総支払額を必ず確認してください。

ただ、私が引っかかったのは金利のことではありませんでした。5年後に、大きな判断が一度に来る。そこが気になったのです。

5年経つと、選択を迫られます。据え置いた残価を一括で払って買い取るか。もう一度ローンを組み直すか。それとも車を返して手放すか。どれを選んでも、その年の家計に大きな影響が出ます。

判断が来る年に、何が重なるのか

今の家計なら月々3万円は払える。でも判断が来たとき、我が家はどうなっているのか。それを確かめるために、当サイトの「人生キャッシュフロー・シミュレーター」を使いました。

自分の家計で先を見てみる →

入力したのは、我が家に近いモデルケースです。年齢33歳、世帯の手取りは月40万円、貯金は300万円。毎月3万円を利回り5%で投資に回しながら、一般的な4人家族というプランで、3歳と1歳の子どもを育てています。

なお、このシミュレーターに残クレを入力する欄はありません。車の買い替えは1回あたり225万円、5年目から7年周期という設定で自動計算されます。だから私が見たのは、残クレのグラフではなく、自分の家計がこの先どう動くかという土台のほうです。そこに、5年ごとの判断が来る年を重ねてみました。

グラフに出てきたのは、50歳という数字でした。この年に、資産が底をつく。下の子が大学に入る年です。

5年後ではありませんでした。もっと先です。ただ、それを見ていて気づいたことがありました。

残クレは、5年で終わりません。据え置いた残価を一括で払えなければ、もう一度ローンを組み直すことになります。33歳で組んで、38歳で組み直して、43歳でまた組み直して、48歳でもう一度。判断は5年ごとに、何度も戻ってきます。

そして四度目の判断を下した、その2年後です。50歳で、資産が底をつく。

ここが怖いと思いました。48歳で数百万円を一括で払うか、ローンを組み直すかを選ぶ。そのときグラフはまだプラスなので、払えてしまう。でも、その判断のすぐ先に、底が待っている。判断した時点では、それが最後の一押しになるとは分からないのです。

念のため、子どもの年齢を8歳と6歳に変えて試しました。破綻年齢は45歳。やはり下の子が大学に入る年です。5年ごとの判断は33歳・38歳・43歳・48歳のまま変わりませんが、底のほうが5年手前に動いたことで、今度は三度目の判断の2年後に来ることになりました。何度目の判断とぶつかるかは、子どもの年齢で変わるということです。

目の前の月額が払えるかどうかは、5年先までの話です。その先で何と重なるかは、月額を見ていても分かりません。数年に一度まとめて出ていく支出が家計を決めるという構造は、車の買い替えについて書いた記事でも同じでした。

残クレが悪いわけではありません

誤解しないでいただきたいのですが、残クレそのものを否定する気はありません。数年ごとに新しい車に乗り換えたい人、まとまった資金に余裕がある人にとっては、理にかなった買い方です。手元の現金を減らさずに済むという利点もあります。

ただ、子どもの教育費が本格的にかかり始める世代にとっては、組み直しを重ねるうちに、判断の年が難所と重なりやすい。そこだけは、契約する前に確かめる価値があると思います。

大切なのは、営業の方が提示する目の前の月額だけで判断しないことです。今月3万円が払えるかどうかではなく、その判断が来る年に、自分の家計がどうなっているか。そこを見てから決める。それだけのことです。

まずは、判断が来る年を計算してください

これから車の購入を検討しているなら、ディーラーに行く前に一度立ち止まってみてください。

シミュレーターに自分の数字を入れて、判断が来る年の手元の現金を見る。青い線が、その年にどこにあるか。それだけで判断材料はずいぶん増えます。

「これなら乗り越えられそうだ」と思えたなら、それはあなたにとっての一つの答えです。逆に「思ったより余裕がない」と感じたなら、グレードを見直す、購入時期をずらす、支払い方法を変えるなど、選べる道はまだあります。

このシミュレーターは未来を予言するものではありません。あなたと家族が納得して選ぶための、判断材料を増やす道具です。正解は人それぞれです。だからこそ、人の意見ではなく、まずはあなた自身の数字で計算してみてください。

判断が来る年に、手元にいくら残るか見てみる 入力は1分程度。現金がいちばん減る時期がグラフで分かります
本記事は筆者個人の体験・見解に基づくものであり、特定の商品・契約を推奨するものではありません。残価設定型クレジットの条件は販売店や契約によって異なり、契約期間も3年・5年など複数あります。金利や残価の取り扱い、中途解約の条件などは、必ず契約書でご確認ください。シミュレーターの結果は入力条件によって異なり、将来の家計状況を保証するものではありません。シミュレーターは退職金や住宅ローンの完済時期を考慮しない簡易試算です。

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