スマホ代の節約は意味がない?月5,000円で、95歳時点の資産が1,373万円変わる計算だった

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楽天モバイルに乗り換えたのは、7年ほど前です。周りに格安SIMを使っている人は、まだほとんどいませんでした。それまで7,000円台だった請求が、翌月から2,000円台になった。ちなみに今月の明細を見たら2,182円でした。

差額はおよそ5,000円。7年ぶんの節約に、私はそれなりの自負を持っていました。もう削るところは残っていない。その手応えを確かめるつもりで、人生キャッシュフロー・シミュレーターに自分の数字を入れました。

浮いた5,000円は、ちょうど一目盛りだった

入れたのは、我が家に近いモデルケースです。年齢33歳、世帯の手取りは月40万円、貯金は300万円。毎月3万円を利回り5%で投資に回しながら、一般的な4人家族というプランで、3歳と1歳の子どもを育てています。

グラフの下に「月々の固定費削減」というスライダーがありました。目盛りは5,000円刻み。7年かけて浮かせた金額が、ちょうど一目盛りです。

動かす前の表示は、こうでした。「手元の『現金』が枯渇します」。51歳の時に、手元の現金が底をつく計算です。総資産のほうは95歳まで一度もマイナスになりません。底をつくのは、手元の現金のほうです。

一目盛り動かしました。51歳のまま。1年も動きません。そこで少し、笑ってしまいました。

実額の倍にあたる1万円まで動かしました。やはり51歳。

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削る前から、現金はもう尽きる計算だった

ここで気づいたことがあります。私が「削れば何かが変わるはずだ」と思っていた前提のほうが、ずれていました。

何も削らない状態で、すでに51歳で現金が尽きる計算だったのです。その原因は、下の子が大学に入る50歳前後に来る教育費の塊でした。大学の1年目だけで、在学費用と入学費用を合わせて279.2万円が一度に出ていきます。しかも17年後には、そこに物価上昇が乗ります。

月5,000円を12か月積んでも6万円。塊は279万円。桁が2つ違いました。スマホ代を削って動かせる性質のものではなかったのです。

この279.2万円がどういう内訳なのかは、大学の初年度に一度で出ていく金額を計算した記事に書きました。

尽きる年が消えたのは、5倍まで削ったときだった

納得がいかず、さらに右へ動かしました。

月1万5,000円。実額の3倍です。ここで52歳。1年だけ後ろへ動きました。月2万円、実額の4倍にしても、52歳のままです。

もう一つ右へ。月2万5,000円、実額の5倍。「手元の『現金』が枯渇します」の表示そのものが消えました。95歳まで、現金が一度も底をつかない。

代わりに「投資の継続が困難になります」が出ました。予定の3万円を積み立てきれない年が通算10年あるという意味で、資産そのものは最後までプラスです。

表示が消える境目は、2万円と2万5,000円のあいだにあります。私が7年かけて浮かせた金額の、4倍から5倍のどこかです。

正直に書いておきます。月2万5,000円の固定費削減は、簡単ではありません。スマホ代の5倍です。通信費だけでは絶対に届かない金額で、保険と住居費まで踏み込まないと出てこない。私にとってこの数字は「やれば大丈夫」ではなく、それだけの塊が来るという目安でした。

ところが、老後に残る額は最初から動いていた

ここまでは、旧来の私の見方どおりでした。「5,000円では何も変わらない」。

ただ、グラフの右端を見ていませんでした。95歳時点に残る総資産を、削減額ごとに並べてみます。

削らない場合が4,900万円。5,000円削るだけで、6,273万円。1,373万円増えています。1万円で7,606万円、2万円で10,182万円、3万円で11,732万円、4万円で13,050万円。

尽きる年が1年も動かなかった一目盛りが、老後に1,373万円を残していました。月5,000円を7年で42万円と数えていた私の勘定は、桁を1つ取り違えていたことになります。削った分は一度きりではなく、その後もずっと家計に残り続けるからです。

増え方は一定ではありません。1万円ごとに区切ると、0から1万円で2,706万円、1万円から2万円で2,576万円、2万円から3万円で1,550万円、3万円から4万円で1,318万円。削るほど、上乗せは小さくなっていきます。

2万円までは、5,000円ごとにおよそ1,300万円ずつ増えます。削った分があると、現金が尽きたあとに投資から取り崩す額が少なくて済み、残った投資がそのまま複利で増えていくからです。

ところが、現金が尽きなくなった2万5,000円より先では、5,000円ごとの増え方が378万円、908万円、410万円と上下します。削った分が、予定どおり積み立てきれなかった年の穴埋めに回れば、投資として複利で増える。回らなければ、利息のつかない現金として積み上がるだけ。どちらになるかが、目盛りごとに入れ替わるからです。

主役でした。ただし、出番が老後だった

7年ごとにやってくる車の買い替え。子どもの進学が重なる数年間。そして老後。退職直後と、介護の費用が重くなる85歳以降に、年金だけでは足りない年が続く区間。数百万円が一度に出ていく場所の前では、月5,000円はその時期を動かす力を持っていませんでした。

けれど、効いていなかったわけではありません。効いていた場所が、私の見ていた場所ではなかった。何歳で足りなくなるかと、最後にいくら残るか。この二つは別々に動きます。私はずっと前者だけを見て、「動かないから無駄だった」と結論を出そうとしていました。

同じことを別の角度から見た話は、浪費ゼロの家計が底をついた話に書きました。

明細を見て小さくガッツポーズしていた7年間は、無駄ではありませんでした。脇役だと思っていたものが、実は別の舞台の主役だっただけです。

それでも、スマホ代の見直しは無駄な一歩ではなかった

誤解してほしくないのは、乗り換えが間違いだったという話ではないことです。一度手続きすれば効果が何年も続く。しかも家族を説得する必要もなく、自分ひとりの判断で決められる。家計の見直しの入り口として、これ以上に始めやすいものはありません。私が今も楽天モバイルを使っているのは、あまり使わない月は自動的に安くなるのが、ずぼらな自分に合っていたからでした。

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ただ、私には問題がもう一つありました。浮いた5,000円を「どうするか」決めていなかったことです。月5,000円が7年で42万円。それだけのお金が私の口座を通ったはずなのに、通帳をさかのぼっても、まとまった残高はどこにもありません。外食が少しだけ豪華になり、コンビニで値段を見ずにカゴに入れるようになった。その程度の積み重ねで、42万円は静かに使い切られていました。

シミュレーターの1,373万円は、削った5,000円が毎月きちんと残ったときの数字です。私の場合は残っていませんでした。チリも積もれば山になる、と言います。でも私のチリは、積もる前に消えていたのです。

浮いたお金には「行き先」を作らなければならない

積み上げたいなら、浮いた分を最初から別の場所へ移しておく必要がありました。では、月5,000円をどこへ移せばよかったのか。

まず思いついたのは、投資でした。あの5,000円を毎月積み立てに回していたら、と。

でも、すぐに気づきました。投資に回すという発想は、5,000円が手元に残っていることが前提です。私の場合、その5,000円は毎月きれいに使い切られていました。積み立て先を選ぶ以前に、積み立てるお金そのものが残っていなかったのです。

結局必要だったのは、もっと素朴な方法でした。なんとなく消費してしまう前に、「次の車の頭金」や「家族旅行」といった、はっきりした目的のお金として別の場所に分けておくこと。金額が小さくても、行き先が決まっていれば消えません。私の42万円が消えたのは、金額が小さかったからではなく、行き先がなかったからでした。

そしてもう一つ。削る前に、自分の家の目盛りを見ておくこと。何歳で足りなくなる年が動くのか、老後にいくら残るのか。その二つは別々に動きます。どちらを動かしたいのかが決まって初めて、いくら削ればいいのかが決まります。

自分の家の目盛りを見てみる 入力は1分程度。いくら削れば何が動くかが、グラフで分かります 浮いたお金で、欲しいものはいつ買えるか試してみる →
※本記事は、シミュレーターの活用イメージをお伝えする体験談です。結果は入力条件によって異なり、削減額や将来の家計状況を保証するものではありません。本文中の料金は筆者の実際の請求額であり、プラン内容や料金は改定されることがあります。最新の内容は公式サイトでご確認ください。シミュレーターは概算の推定値であり、将来を保証するものではありません。

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