スマホ代を7年削って42万円。浮いたお金はどこへ消えた?

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楽天モバイルに乗り換えたのは、7年ほど前です。格安SIMという言葉がまだ物珍しかった頃で、周りに使っている人はほとんどいませんでした。それまで7,000円台だった請求が、翌月から2,000円台になった。ちなみに今月の明細を見たら2,182円でした。

差額はおよそ5,000円。7年ぶんの節約に、私はそれなりの自負を持っていました。もう削るところは残っていない。その手応えを確かめるつもりで、人生キャッシュフロー・シミュレーターに自分の数字を入れました。

浮いた5,000円は、ちょうど一目盛りだった

入れたのは、我が家に近いモデルケースです。年齢33歳、世帯の手取りは月40万円、貯金は300万円。毎月3万円を利回り5%で投資に回しながら、一般的な4人家族というプランで、3歳と1歳の子どもを育てています。

グラフの下に「月々の固定費削減」というスライダーがありました。目盛りは5,000円刻み。7年かけて浮かせた金額が、ちょうど一目盛りです。

動かしました。資産が底をつく年は、50歳のまま。一目盛り分では、1年も動きませんでした。そこで少し、笑ってしまいました。

そこで、実額の倍にあたる1万円まで動かしました。50歳から51歳へ。1年です。

もう一つ右へ。実額の4倍にあたる2万円で、52歳。さらに右へ、6倍の3万円。52歳のまま、動きませんでした。

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8倍まで動かしたところで、景色が変わった

納得がいかず、もう一つ右へ動かしました。月4万円。実額の8倍です。

底をつく年が、表示から消えました。95歳まで、一度も資産がマイナスにならない。3万円までは1年ずつしか動かなかったのに、4万円では底をつく年そのものが消えました。境目は、3万円と4万円のあいだのどこかにあります。

老後に残る金額のほうも、同じ動き方をしていました。1万円削るごとに、おおよそ870万円から890万円ずつ改善していく。それが3万円から4万円に上げたところで、一気に2,500万円以上動きました。それまでの3倍近い幅です。

何が起きているのかを追いました。50歳は下の子が大学に入る年で、その前後の数年に、教育費の山があります。3万円までは、その山を越えられていなかった。4万円で、ようやく越えた。越えられなければ1年ずつ、越えた瞬間に景色ごと変わる。削った金額に比例して効くわけではなかったのです。

山を越えられれば、その先も変わります。手元の現金がマイナスにならなければ積み立てを止めずに済むので、投資がそのまま続く。大学の初年度に一度で出ていく金額を計算した記事にも書きましたが、教育費の山は「いつ足りなくなるか」だけの話ではありませんでした。

ただし、手元の現金はゼロになっていました

安心しかけたところで、シミュレーターの表示に気づきました。危険信号は消えていましたが、代わりにこう出ていたのです。「手元の現金が枯渇します」。

グラフを見ると、たしかに青い線が50歳あたりで底に張り付いています。95歳時点の内訳を確かめると、総資産はプラスのままなのに、そのうち現金は0円でした。残っていたのは全額が投資の分です。

資産があることと、使えるお金が手元にあることは、別の話でした。この状態で相場が下がっていれば、その値段で売るしかありません。

それと、正直に書いておきます。月4万円の固定費削減は、簡単ではありません。スマホ代の8倍です。通信費だけでは絶対に届かない金額で、保険と住居費まで踏み込まないと出てこない。私にとってこの数字は「やれば大丈夫」ではなく、それだけの塊が来るという目安でした。

節約の実感と、グラフへの効果は比例しない

7年ごとにやってくる車の買い替え。子どもの進学が重なる数年間。そして老後、年金と生活費の差が毎年開いていく区間。数百万円が一度に出ていく場所の前では、月5,000円をただ現金で残すことは、思っていたよりずっと小さな揺れでしかありませんでした。

ちなみに、月2万円の削減を19年続ければ456万円になります。それでも2年です。同じ数字を別の角度から見た話は、浪費ゼロの家計が底をついた話に書きました。

明細を見て小さくガッツポーズしていた7年間が無駄だったとは思いません。ただ、あれは主役ではなかった。脇役が主役の顔をしていただけでした。

それでも、スマホ代の見直しは無駄な一歩ではなかった

誤解してほしくないのは、乗り換えが間違いだったという話ではないことです。一度手続きすれば効果が何年も続く。しかも家族を説得する必要もなく、自分ひとりの判断で決められる。家計の見直しの入り口として、これ以上に始めやすいものはありません。私が今も楽天モバイルを使っているのは、あまり使わない月は自動的に安くなるのが、ずぼらな自分に合っていたからでした。

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問題は、浮いた5,000円を「どうするか」決めていなかったことでした。月5,000円が7年で42万円。それだけのお金が私の口座を通ったはずなのに、通帳をさかのぼっても、まとまった残高はどこにもありません。外食が少しだけ豪華になり、コンビニで値段を見ずにカゴに入れるようになった。その程度の積み重ねで、42万円は静かに使い切られていました。

チリも積もれば山になる、と言います。でも私の場合、チリは積もる前に消えていました。安くなった分をなんとなく財布に戻していたら、生活費の波に飲まれて消えてしまうだけだったのです。

浮いたお金には「行き先」を作らなければならない

積み上げたいなら、浮いた分を最初から別の場所へ移しておく必要がありました。では、月5,000円をどこへ移せばよかったのか。

まず思いついたのは、投資でした。あの5,000円を毎月積み立てに回していたら、と。

でも、すぐに気づきました。投資に回すという発想は、5,000円が手元に残っていることが前提です。私の場合、その5,000円は毎月きれいに使い切られていました。積み立て先を選ぶ以前に、積み立てるお金そのものが残っていなかったのです。

結局必要だったのは、もっと素朴な方法でした。なんとなく消費してしまう前に、「次の車の頭金」や「家族旅行」といった、はっきりした目的のお金として別の場所に分けておくこと。金額が小さくても、行き先が決まっていれば消えません。私の42万円が消えたのは、金額が小さかったからではなく、行き先がなかったからでした。

そしてもう一つ。5,000円が一目盛りでも結果が動かなかったのなら、いくらなら動くのかを先に知っておくこと。削る前に、自分の家の目盛りを見ておく。順番はそれだけです。

自分の家の目盛りを見てみる 入力は1分程度。いくら削れば何年動くかが、グラフで分かります 浮いたお金で、欲しいものはいつ買えるか試してみる →
※本記事は、シミュレーターの活用イメージをお伝えする体験談です。結果は入力条件によって異なり、削減額や将来の家計状況を保証するものではありません。本文中の料金は筆者の実際の請求額であり、プラン内容や料金は改定されることがあります。最新の内容は公式サイトでご確認ください。シミュレーターは退職金や住宅ローンの完済時期を考慮しない簡易試算です。

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