「投資はギャンブル」と言った母が、対面窓口でNISAを始めていた

マインドセット

親のことは、今でも尊敬しています

我が家には、3歳の息子と1歳の娘がいます。私は今でも両親を尊敬しています。ここまで育ててくれたことへの感謝は変わりませんし、人生経験という意味では、親から学ぶことは今でもたくさんあります。

ただ一つだけ。お金の考え方については、自分で学び、自分で判断しようと思うようになりました。そのきっかけになった出来事があります。

「投資なんてやめなさい」と言われた日

私が本格的に資産形成を始めたのは2020年末頃でした。将来のことを考え、投資について勉強し始めた私は、両親にもその話をしました。返ってきたのは、「投資なんてギャンブルみたいなものだ」「真面目に貯金しなさい」という言葉でした。

それでも諦めきれず、母には「つみたてNISAの仕組み」や「インデックス投資の考え方」を、かなり熱心に説明した記憶があります。そのとき私が何より強調したのは、「勧められたものをそのまま買わず、複数を見比べてから決めること」でした。窓口で出てくる選択肢がすべてではないし、同じような中身でも手数料は商品ごとに違う。だから自分で並べて確かめてから決めたほうがいい、と。しかし、母の返事は「面倒くさそうね」でした。それ以上、無理に勧めることはしませんでした。

そして先日。母が嬉しそうにこう言いました。
「窓口でNISAを始めたの。今のところ調子がいいのよ」

思わず頭を抱えそうになりました。あれほど見比べてから決めてほしいと言ったのに、勧められたものをそのまま契約してきたようでした。しかし、それ以上に私が驚いたのは、あんなに「ギャンブルだ」「面倒だ」と拒絶していた母が、自分から窓口へ足を運んでいたという事実でした。人は環境や時代の空気が変われば、考え方も変わるのです。

親が間違っていたのではありません

誤解してほしくないことがあります。私は親が間違っていたとは思っていません。

親世代が若かった頃は、銀行預金の金利が今よりずっと高い時代でした。だから「預けておけば安心」という考え方は、その時代には十分に合理的だったのです。

一方で、私たちが子育てをしている今は、低金利が続き、物価は上がり、教育費も増え続けています。時代が変われば、正解も変わります。だから私は、親の常識を鵜呑みにするのではなく、自分の家庭の数字を客観的に見ることにしました。

人のことを言えた立場ではありませんでした

そこで使ったのが、当サイトの「人生キャッシュフロー・シミュレーター」です。より現実に近い将来を試算するため、初期設定として年2%の物価上昇と、年2.5%の昇給(物価の2%に、実質の賃金上昇0.5%を足した値)を反映しています。

自分の家庭の数字で試してみる →

年齢33歳、世帯の手取りは月40万円、貯金は300万円。毎月3万円を利回り5%で投資に回しながら、3歳と1歳の子どもを育てている。我が家に近いモデルケースを作って入力しました。私が見るつもりだったのは、子どもたちの進学が重なる十数年後の「教育費の谷」です。投資を続けていれば、その谷を越えられるのかどうか。それが知りたかったのです。

結果は、51歳でした。総資産のほうは95歳まで一度もマイナスになりません。底をつくのは、手元の現金のほうです。下の子が大学に入った、その翌年でした。念のため子どもの年齢を8歳と6歳に変えて試すと、今度は45歳。6年早い。やはり下の子が大学に入る年で、しかもこのときは現金だけでは済まず、総資産のほうが一度マイナスに沈みます。

ただ、私の見当違いは別のところにありました。このシミュレーターは、その年の家計に黒字がある範囲でしか積み立てを実行しません。さらにもう一段あって、手元の現金が生活費の6か月分を下回っている年は、黒字があっても積立を止めて現金の回復を優先します。

その結果がどうなっていたか。積み立てが予定どおりできなくなるのは、38歳から。通算で10年ありました。38歳は、最初の車の買い替えが来る年です。次に止まるのは45歳、2回目の買い替えの年でした。教育費の谷に入る48歳より10年も手前から、車の買い替えのたびに積み立ては止まっていました。そして谷に入った48歳からは、7年続けて予定どおりに積み立てられません。

「投資を続けていれば谷を越えられるか」という問いは、前提が甘いものでした。谷に着く前から、車の買い替えの年には続けられていなかったのですから。

「投資か、貯金か」。私はずっとその二択ばかりを考えていました。でも、答えはそこにありませんでした。どちらを選ぶかより先に、その年に手元にいくら残っているかを知らなかったことのほうが問題だったのです。数年に一度、まとめて出ていく支出が家計を決めるという構造は、車の買い替えについて書いた記事でも同じでした。

母の始め方に首をかしげた私が、自分の家計では、いつ足りなくなるのかも、いつ積み立てが止まるのかも知らなかった。人のことは、言えませんでした。

親の意見でも、私の意見でもありません

このサイトは、投資を勧めるサイトではありません。貯金を勧めるサイトでもありません。「計算してから判断するためのサイト」です。

私の家庭では、投資という選択になりました。教育費をどう準備するかで迷った経緯は、学資保険かオルカンかで悩んだ話に書いています。ただ、その前に塞ぐべき穴があることも、今回わかりました。しかし、あなたの家庭では、堅実な貯金が正解かもしれません。学資保険かもしれません。正解は家庭の状況によって全く違います。

だから、親の意見でも、SNSでも、テレビでも、そして私の意見でもなく、まずは「あなた自身の数字」を計算してみてください。その上で出した答えなら、きっと一番納得できる選択になるはずです。

私は自身の計算に基づいて選択しましたが、投資を始める際は、商品や制度の内容やリスクを十分に確認し、ご自身で納得したうえで判断してください。

自分の数字で、計算してみる 入力は1分程度。教育費が重なる時期のグラフも見られます
本記事は筆者個人の体験・見解に基づくものであり、特定の金融機関・金融商品の購入や契約を推奨・勧誘するものではありません。金融機関ごとの取扱商品や手数料は制度改定や商品追加によって変わります。投資は元本割れのリスクを伴います。ご検討にあたっては、必ずご自身で最新の商品内容・手数料等をご確認のうえ、ご自身の判断と責任において決定してください。シミュレーターは概算の推定値であり、将来を保証するものではありません。

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