私立大学は1年目だけで279万円。2人目が入学した翌年に、手元の現金が尽きる計算だった

教育費

3歳の息子と1歳の娘がいます。上の子が大学に入るまで、あと15年。

大学に年間100万円ほどかかることは知っていました。それでも、その数字を見て自分が何を準備すればいいのかは、ずっと分かりませんでした。

分かったのは、この記事を書くために調べ直して、教育費を年ごとに区切って計上する処理をシミュレーターに書いたときでした。

「4年間で755万円」では、何も分からなかった

大学の費用としてよく目にするのは、総額です。日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」(2021年12月公表)によれば、私立大学は入学費用が85.3万円、在学費用が年167.6万円。4年間を合計すると755.7万円になります。国公立なら入学費用67.2万円と年103.5万円で、4年で481.2万円です。

私立の金額は、文系と理系の単純平均です。文系だけなら689.8万円、理系なら821.6万円。当サイトのシミュレーターも同じ平均値を使っています。

ただしシミュレーターは、この2021年度の金額をそのまま使っていません。物価は上がり続けているので、年2%で2026年時点の額に換算してから計上しています(1.02の5乗で約1.104倍)。換算後は、入学費用が94.2万円、在学費用が年185.0万円。私立4年の総額は834.2万円になります。以降、この記事でシミュレーターの話をするときは、換算後の金額で書きます。

この数字を前にして、私が最初にやろうとしたのは「毎月いくら貯めれば足りるか」という計算でした。834.2万円を15年で割れば、月に約4万6千円。それなら、と思いかけたところで手が止まりました。

この割り算には、2つの間違いがあったからです。均等に出ていく前提だったこと。そして、1人ぶんしか計算していなかったことです。

お金は、均等には出ていきません

当サイトのシミュレーターは、この費用を年ごとに分けて計上しています。大学の在学費用を毎年、そして入学費用は1年目にだけ、一時金として上乗せする形です。

私立の場合、入学費用が94.2万円、在学費用の1年目が185.0万円。合わせて279.2万円が、大学1年目に一度に出ていきます。しかもこれは開始時点の金額で、実際に支払う年にはさらに物価上昇が乗ります。

年間100万円という感覚は前から持っていました。データも目にしていたはずです。それでも総額を年数で割るという発想でいる限り、初年度だけ280万円近くになるという形は見えてきません。割り算は、いちばん痛いところを平らにならしてしまいます。

このシミュレーターは、車の買い替えを1回あたり225万円として自動計算しています。大学の初年度は、それより大きい。しかも車の買い替えは前もって時期を選べますが、進学の年は動かせません。

そして子どもが2人いれば、この塊は数年ずらしてもう一度来ます。

その年が何歳のときに来るか試してみる →

この数字には、断っておきたいことがあります

出典である日本政策金融公庫は、教育ローンを扱う機関です。ただし調査そのものは、高校生以上の子どもを持つ64歳以下の保護者4,700人(各都道府県100人)へのインターネット調査で、融資を受けた世帯だけを集めたものではありません。回答した中で「国の教育ローンを利用したことがある」世帯は345人です。

そのうえで、断っておきたいことが3つあります。

ひとつめは、この金額が実際に支払った額ではなく、その年度の見込み額だということ。

ふたつめは、在学費用の中身です。年167.6万円が授業料の相場より高く見えるのは、授業料のほかに施設設備費や通学費、教科書代、そして塾やおけいこごとの費用まで含んだ額だからです。私立文系の年152.0万円のうち、6.8万円がこの家庭教育費にあたります。

みっつめは、この調査が2021年のものだということ。上で書いたとおり、シミュレーターは年2%で換算して使っていますが、実際の値上がりが年2%だったという保証はありません。換算は、2021年の金額をそのまま使うよりはましだ、という程度のものです。

それでもこの調査を使っているのは、受験にかかった費用や通学費まで含めた「家計から実際に出ていく額」を、入学の年とそれ以降に分けて示している調査が、他に見当たらないからです。学校に納める金額だけなら文部科学省の調査でも入学料と授業料は分かれていますが、それでは家計から出ていく額になりません。

見込みの額で、塾代を含んでいて、5年前の数字を換算して使っている。そこは隠さずに書いておきます。

自宅から通うか、一人暮らしか

ここまでの金額に、家賃も食費も入っていません。学校に払うお金と、そこへ通うための費用だけです。

正直に言うと、私は一人暮らしを「お金に余裕のある家の話」だと思っていました。それでも、子どもが行きたい大学が遠かったら。させてあげたいと思うだろうな、とも考えます。だから、いくらかかるのかは知っておきたかった。

全国大学生活協同組合連合会の「第60回学生生活実態調査」に、そのまま使える数字がありました。2024年の秋に11,590人から回答を得た調査です。

下宿している学生が親から受け取る仕送りは、月に72,350円。自宅から通う学生が親からもらう小遣いは、月に10,580円。差は月61,770円で、年にすると約74万円です。

同じ調査の中の引き算なので、別々の統計を突き合わせたときのようなズレが起きません。しかも親の側から見た数字です。学生の生活費がいくらかではなく、うちの財布から毎月いくら余分に出るのか。知りたいのはそちらでした。

ただし、この74万円はやや多めに出ます。子どもが家を出れば、自宅側の食費や光熱費はその分減るからです。

それと、敷金や礼金、引っ越し費用、家具や家電はここに入っていません。この分については、先ほどの公庫の同じ調査に「自宅外通学を始めるための費用」として38.7万円という数字があります。シミュレーターには計上していませんが、金額が分からないわけではありません。そしてこれは大学1年目、入学費用と同じ年に重なります。

その年、我が家の家計はどうなっているのか

シミュレーターに、我が家に近いモデルケースを入れました。年齢33歳、世帯の手取りは月40万円、貯金は300万円。毎月3万円を利回り5%を想定して投資に回しながら、一般的な4人家族というプランで、3歳と1歳の子どもを育てています。

総資産のほうは、95歳まで一度もマイナスになりませんでした。かわりに別の警告が出ます。51歳で、手元の現金が底をつく。足りない分は投資を取り崩して埋める計算です。

この年に何があるのかを追ってみます。シミュレーターは車の買い替えを5年目から7年周期で計算するので、33歳から数えると38歳、45歳、52歳。51歳はどれにも当たりません。

上の子が大学に入るのが48歳。下の子が50歳。現金が尽きるのは、下の子が入った翌年でした。1人目は越えられて、2人目で越えられない。塊が2回来ることの意味が、ここで初めて分かりました。冒頭でやりかけた割り算は、1人ぶんでしかなかったわけです。

念のため、子どもの年齢を8歳と6歳に変えて試しました。今度は45歳。6年早い。このときも下の子が大学に入る年です。しかも、現金が尽きるだけでは済みませんでした。総資産のほうが一度マイナスに沈みます。子どもが大きいほど貯める時間が短いので、同じ塊がより重く効く。ずれ方も、起きることの重さも変わりました。

一人暮らしにすると、沈む年そのものが現れる

ここで、一人暮らしの分を入れてみました。2人とも自宅から通う場合と、2人とも一人暮らしをする場合。同じ条件で並べます。

結果は、拍子抜けどころではありませんでした。

2人とも自宅なら、総資産は95歳まで沈みません。ところが2人とも一人暮らしにすると、51歳で総資産そのものがマイナスに沈みます。手元の現金が尽きる年も、51歳から50歳へ1年早まりました。

そしてグラフの右端。95歳時点の総資産は、自宅が4,900万円、一人暮らしが1,261万円。差は3,639万円です。

子ども2人ぶんの仕送りの差額は、今の金額なら年74.1万円×4年×2人で592.8万円。物価上昇を乗せても、実際に支払う額の合計は838.7万円ほどです。それが95歳時点では3,639万円の差になっている。4.3倍です。

差額の大半は、インフレでは説明がつきません。原因は積み立てが止まる年数でした。自宅なら通算10年で済む積立の未達が、一人暮らしでは12年に増えます。手元の現金が沈むぶん、投資に回せない年が増える。その2年ぶんと、そこから先の複利が積み上がって、838万円の差が3,639万円まで広がりました。

いつ足りなくなるかと、どれだけ足りないか。この二つは別々に動きますが、無関係ではありません。足りなくなった年が積み立てを止め、止まった年が老後の額を削る。つながっていました。

数年に一度まとめて出ていく支出が家計を決めるという構造は、浪費ゼロの家計が底をついた話でも同じでした。ただ今回は、その塊の大きさまで見ないと足りないと分かりました。

では、どう備えるのか

まず、投資を増やすとどうなるかを見ました。

ここは意外でした。2人とも自宅から通う条件で、投資額のスライダーを0円から月3万円に上げると、52歳で沈んでいた総資産が、95歳まで一度も沈まなくなります。投資には、時期を動かす力がないわけではなかったのです。

ただし、2人とも一人暮らしの条件では、月3万円にしても51歳で沈んだままです。投資を0円にしても3万円にしても、沈む年は変わりませんでした。塊がそこまで大きいと、この額の積み立てでは届きません。

ただし条件があります。積み立てられる余裕が残っているあいだに始めていること。このシミュレーターは、その年の家計に黒字がある範囲でしか積み立てを実行しません。さらに、手元の現金が生活費の6か月分を下回る年も積立を止めます。塊が目の前に来てから増やしても、実行されずに終わります。

固定費削減のスライダーも試しました。月2万円まで動かすと、現金が尽きる年は51歳から52歳へ。1年です。ただし95歳時点は4,900万円から10,182万円へ、5,282万円増えました。削った分は毎年ずっと家計に残り続けるので、老後にはきちんと効きます。このモデルケースでは、時期を動かす力が小さかっただけです。家計によっては、同じ削減で足りなくなる年が大きく動くこともあります。ご自身の数字で確かめてください。

手段を選ぶ前に、やることがありました。その塊が何歳のときに来るのかを、先に知ることです。時期が分かれば、そこまで何年あるかが決まります。年数が決まって初めて、毎年いくらずつ、どういう形で用意するかを考えられる。私はその順番を逆にしていました。

私が選んだのは投資でしたが、それが正解とは限りません

教育費の準備には、大きく分けて2つの考え方があります。どちらが優れているという話ではなく、何を優先するかの違いです。

学資保険は、増える額が限られます。ただ、途中で引き出しにくいという性質があります。これは欠点として語られることが多いのですが、使ってはいけないお金を、使えない場所に置いておけるという意味でもあります。50歳に279万円が必要だと分かったなら、その年まで確実に残っていることのほうが大事だという考え方は、じゅうぶん成り立ちます。

私が選んだのは、オールカントリーの投資信託でした。世界経済の成長に期待するという意味もありますが、決め手は積立の期間でした。長く買い続けるほど買う時期が分散され、高いときも安いときも買うことになるので、取得単価が特定の年の相場に左右されにくくなります。15年かけて買うのと、5年で買うのとでは、そこが違う。

ただし、これで安心という話ではありません。むしろ逆の面があります。積み立てた資産が大きく育っているほど、引き出す直前に相場が下がったときに減る金額も大きくなる。必要な年に下がっていれば、その年に使えるお金はその分少なくなります。教育費のように使う時期を動かせないお金では、このリスクは最後まで消えません。

だから、全額を投資に回さないことと、必要な時期の何年か前から少しずつ現金に移しておくこと。この2つは、投資を選ぶなら考えておく必要があります。私が投資を選んだのは、リスクがないと思ったからではなく、そこまで含めて納得できたからです。

迷った経緯は学資保険かオルカンかで悩んだ話に書きました。どちらを選ぶにしても、まず自分の家の時期を知ってからにしてください。

あなたの家では、何歳のときに来ますか

大学の費用がいくらかを調べた記事は、いくらでもあります。でも、その金額があなたの家計に届く年に、手元にいくら残っているかは、そこには書いてありません。

お子さんの年齢を入れれば、進学の年が自動で計算されます。自宅から通うか一人暮らしかも選べます。数字が出たら、その年に「手元の現金」の線がどこにあるかを見てください。

正解は家庭によって違います。国公立に進むかもしれないし、奨学金という選択肢もあります。ここに書いた金額も、調査によって幅のある数字です。それでも、時期だけは自分の家の数字で分かります。

その塊が何歳のときに来るか見てみる 入力は1分程度。お子さんの年齢と住まいを入れるだけです
本記事は、シミュレーターの活用イメージをお伝えする体験談です。結果は入力条件によって異なり、将来の家計状況を保証するものではありません。大学の費用は日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」(2021年12月公表)の金額を年2%で2026年時点に換算した試算、一人暮らしの追加分は全国大学生活協同組合連合会「第60回学生生活実態調査」にもとづく試算であり、実際の金額は進路・地域・年度によって大きく異なります。投資は元本割れのリスクを伴い、保険は中途解約時に元本を下回る場合があります。商品のご検討にあたっては、必ずご自身で内容をご確認のうえ判断してください。シミュレーターは概算の推定値であり、将来を保証するものではありません。

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