「車を買うなら新車」は見栄だった。新車と中古車の100万円の差を、月々の支払いで比べてはいけなかった

大きな支出

「車は新車が当たり前」という価値観

車を買うなら新車。自動車ディーラーに勤める父がいる私にとって、当たり前のことでした。今の愛車を新車で購入したこと自体は、当時の自分にとってごく自然な選択でした。

しかし今振り返ると、後悔していることがあります。「新車の匂いが好き」「最新装備に乗りたい」「保育園で少し良く見られたい」。そんな見栄が、判断に少なからず影響していたことです。

新車が奪ったのは、お金だけではありませんでした

3歳の息子と1歳の娘を乗せて出掛けると、お菓子の食べこぼし、泥だらけの靴、ジュース。子育て中の車は、どうしても汚れます。

それなのに私は、「汚さないで!」と、つい声を荒げてしまうことが何度もありました。せっかく家族で出掛けているのに、子どもたちよりも車を気にしてしまっていたのです。今思えば、とてももったいない時間でした。もし最初から「車は汚れるもの」と割り切れていたら、もっと笑顔で過ごせたかもしれません。

私が間違えたのは「新車」ではなく「見栄」

誤解していただきたくないのですが、私は新車が悪いと言いたいわけではありません。新車には、最新の安全装備、故障リスクの少なさ、長く安心して乗れることという、大きな価値があります。

私が間違えたのは、新車を選んだことではありません。他の選択肢と比較する前に、「車を買うなら新車」と思考停止してしまったこと。そこに見栄が入り込んでいたことです。

あの時、もし冷静に比較していたら

当サイトの「人生キャッシュフロー・シミュレーター」には、「新車」「中古車」というボタンがありません。車両価格そのものを入れる欄もなく、動かせるのは投資額と利回り、そして「月々の固定費削減」というスライダーです。だから私は、新車と中古車の差を月額に置き換えて、そこに入力することにしました。

自分の家計で試してみる →

まず、価格差を調べました。中古車情報サイトで、同じシエンタのハイブリッドを並べてみます。ほぼ新車と言える登録済未使用車が、330万円台から370万円台。3年落ちの2023年式が、240万円台から280万円台。走行距離や保証の有無で変わりますが、ざっくり100万円ほどの差でした。

次に、この購入費用を月々の支払いに直してみます。ここでは新車を約370万円、3年落ちの中古を約270万円として、仮に5年、60回のローンを組んだとしましょう。金利などを省いた単純計算になりますが、新車なら毎月の支払いは約6.2万円、中古車なら約4.5万円。価格差の100万円を60回で割ると、毎月およそ1万7千円です。

シミュレーターには、我が家に近いモデルケースを入れました。年齢33歳、世帯の手取りは月40万円、貯金は300万円。毎月3万円を、利回り5%を想定して投資に回しながら、一般的な4人家族というプランで、3歳と1歳の子どもを育てています。この条件で試すと、総資産は95歳まで一度もマイナスになりませんが、51歳で手元の現金が底をつくという結果でした。

そこに、中古車を選んでいたら浮くはずだった分を、固定費削減として入れてみます。目盛りは5,000円刻みなので、1万7千円をそのまま入れることはできません。いちばん近い値として1万5,000円で試しました。

52歳。1年です。

その1年も、多すぎる数字でした

1年と出たところで、自分のやったことを見直しました。そして、この計算が成り立っていないことに気づきます。

「月々の固定費削減」のスライダーは、入れた金額をこの先ずっと、95歳まで毎年差し引き続けます。通信費や保険のように、一度見直せば効果が何十年も続く支出を想定した欄だからです。

いっぽう、私が入れた金額のもとになった1万7千円は、5年のローンが終われば消える差額です。33歳から38歳までの5年ぶんしかない。

つまりシミュレーターは、62年ぶんの効果を、5年ぶんの差に対して与えて計算していたことになります。それで出た答えが1年。実際の100万円が生む余裕は、それより短い。0年かもしれません。

ここで、記事の最初に戻ります。私は100万円という価格差を、わざわざ月々1万7千円に割り直してから入力しました。崩したせいで何年分か見えなくなった、という話ではありませんでした。崩した数字を入れた先が、崩す前とは別の意味を持つ欄だったのです。100万円は一度きりのお金で、固定費は毎月続くお金。同じ「月1万7千円」でも、中身が違いました。

ちなみに、50歳前後で現金が尽きる理由も追ってみました。このシミュレーターは車の買い替えを1回あたり225万円、5年目から7年周期で自動計算します(75歳を最後に、それ以降は計上しません)。33歳から数えると、38歳、45歳、52歳。51歳はどれにも当たりません。現金が尽きていたのは、下の子が大学に入った翌年でした。

念のため、子どもの年齢を8歳と6歳に変えて試しました。今度は45歳。6年早い。やはり下の子が大学に入る年でした。しかも表示される警告そのものが変わり、現金が尽きるだけでは済まず、総資産のほうが一度マイナスに沈みます。

新車と中古車の100万円は、この塊の前では小さい。月々1万7千円という数字を眺めていたときには、それがどれくらいのものなのか、私にはまるで想像がついていませんでした。

だから私は、シミュレーションしてから決めたい

もし今、もう一度車を買うなら、最初から「新車しか考えない」とは思いません。車両価格そのものと、次に買い替えるまで何年乗るつもりか。ここを数字にしてから決めます。支払い方法についても私は同じことを考えて、結局残価設定ローンを選びませんでした。

当サイトの「人生キャッシュフロー・シミュレーター」は、あくまで「数年おきにやってくる車の買い替えが、人生全体の貯金にどう影響するか」という大きな流れを把握するためのものです。車両価格そのものを変えることはできません。

では、肝心の「新車と中古車の具体的な価格差」はどう扱えばいいのでしょうか。そこで使えるのが、当サイトのもう一つのツール「欲しいものいつ買える?シミュレーター」です。狙っている車の価格を入れ、頭金の欄に、貯金から充てるつもりの額と今の愛車の下取り見込み額を合わせて入れると、あと何か月で買えるのか、それが何年何月ごろになるのかが出ます。まず新車の価格で一度計算し、次に中古の価格に入れ替えてもう一度。2つの日付を並べれば、100万円の差が何か月分の差なのかが分かります。一度きりのお金は、一度きりのお金として扱えるツールで比べるべきでした。

欲しい車が、いつ買えるか試してみる →

そのうえで人生キャッシュフロー・シミュレーターに戻ってできることが、一つだけあります。買い替えの年に、手元の現金がいくら残っているかを見ておくこと。金額を決めるのは自分ですが、その金額を払える時期なのかどうかは、グラフが教えてくれます。

計算した上で、それでも新車を選ぶなら、それは納得して選んだ新車です。それが今の私にとって、一番後悔しない買い方だと思っています。

あなたは、私と同じ後悔をしないでください

車は人生の中でも、大きなお金が動く買い物です。だからこそ、営業マンの言葉だけでも、SNSの口コミだけでも、周りの目だけでもなく、あなた自身の家計で一度計算してから判断してほしいです。それが、このサイトを作った理由でもあります。

新車が正解の家庭もあります。中古車が正解の家庭もあります。正解は、一つではありません。シミュレーターも未来を言い当てるものではなく、あなたの家計を考えるための判断材料です。だからこそ、一度未来を計算してから、あなたと家族にとって一番納得できる選択をしてください。

比較するための「材料」を集めましょう

まず知っておきたいのは、新車と中古車の月々の差額ではなく、車両価格そのものの差です。中古車の相場が分からない方は、無料の中古車検索サービスで希望条件の価格帯を確認してみてください。

価格差が分かれば、それを「次の買い替えまで何年乗るか」という視点と組み合わせて、自分の家計にとっての意味を考えられます。大切なのは、「新車か中古車か」ではありません。あなたの家計に合った選択なのかを、数字で確認してから決めることです。

買い替えの年に、手元にいくら残るか見てみる 入力は1分程度。現金がいちばん減る時期がグラフで分かります
本記事は、シミュレーターの活用イメージをお伝えする体験談です。結果は入力条件によって異なり、将来の家計状況を保証するものではありません。本文中の車両価格は、執筆時点で中古車情報サイトに掲載されていた価格帯をもとにした概算であり、グレード・年式・走行距離・時期によって大きく異なります。ローンの試算は金利を考慮しない単純計算です。シミュレーターは概算の推定値であり、将来を保証するものではありません。

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